「ぬか漬け」といえば、みなさんはどんなことを思い浮かべますか?
「体に良さそう」「おいしそう」というイメージがある一方、「ぬか床の管理が難しそう」「腐らせそうでこわい」「ズボラな私には無理」と思ってなかなか手を出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
かつての私もそうでした。
でも、一度やってみると、ぬか床の便利さとぬか漬けの面白さにすっかりはまってしまいました。
この記事では、ぬか漬けを始めてもうすぐ1年になる筆者が、これからぬか漬けを始めようと思っている方に向けてノウハウをお伝えします。
ぬか床の管理は、おそらくみなさんの想像以上に簡単です。
すでに完成されたぬか床がいろんなメーカーから発売されていますので、それを買えばすぐに始められます。
毎日1回は混ぜるのが基本ですが、冷蔵庫で管理できる商品なら2~3日に1回のかき混ぜでも大丈夫です。
家を留守にする場合も、冷蔵庫(長期間なら冷凍庫でも可)で保管すれば、腐ってしまうことはありません。
ぬか漬けは美味しいだけでなく、発酵食品であるため健康によいです。
さらに、ぬか床につけておくだけで、余った食材が美味しいおかずに変身してしまうのです。
放っておくだけで夕食の一品ができ上がるので、こんなに便利なことはありません。
今ではわが家の食卓に欠かせないものになりました。
ぜひ、この記事を読んで、ぬか床を生活に取り入れてみてください!
ぬか漬けを始めたきっかけ
1冊の本が食生活を変えた
とにかく早くぬか漬けについて知りたい方は読み飛ばしてください。
筆者がぬか漬けを始めたきっかけは、書店でふと気になって手に取った本です。
稲垣えみ子『もうレシピ本はいらない 人生を救う最強の食卓』(2023.1.15、幻冬舎文庫)です。
稲垣さんは「ご飯、味噌汁、漬物」のワンパターンの食生活をされているそうですが、この本に出てくるぬか漬けの描写がとにかく美味しそうで心惹かれました。
稲垣さんによると、ぬか床の管理は難しくないし、漬けておくだけで勝手に調理をしてくれるし、ぬか漬けはそのまま食べるだけでなくアレンジできると、いいことずくめのようでした。
本の影響を受けやすい私は、さっそくぬか床を探し始めました。
そうして迎え入れたぬか床は、後に私の生活にすっかり根付くことになります。
ぬか床の買い方、選び方
ここからが本題です。
ぬか床を一から作るとなれば、非常に手間と時間がかかります。
しかし、すでにできあがったものを買えば、その日からすぐに始められます。
スーパーにもありますし、ショッピングサイトではさまざまなメーカーのものが売られています。
選ぶ時のポイント
管理の手軽さ
初めてなら、冷蔵庫で漬けるタイプがおすすめです。
私もそうでしたが、生ものを常温に置いておくのってハードルが高いのですよね。
ですので、最初は冷蔵庫で漬けてみてください。
冷蔵庫用のぬか床の中には常温OKのものもありますので、慣れてきたら少しずつ常温管理にチャレンジすることもできます。
手に入りやすいメーカーか
後にも書きますが、ぬか床は使うと減っていきます。
そうするとぬかを足す必要があるのですが、基本的には同じメーカーのものを使うことが推奨されています。
ぬか床生活を続けるには、たしぬかが手に入りやすいかどうかは大事なポイントです。
説明書きやアフターサービスの有無
初めてならぜひチェックしていただきたいポイントです。
ぬか漬けを始めてみると、困りごとやわからないことが出てくるものです。
そんなときに、詳しい説明書きやメーカーに問い合わせできるサービスがあればとても助かります。
筆者が使っている商品
通販サイトで購入した、コーセーフーズの「冷蔵庫で育てる 熟成ぬか床」を使っています。
この商品を選んだ決め手は、
・冷蔵庫でも管理ができる
・同じメーカーのたしぬかが売っていて長く使えそう
・説明書やアフターサービスがきちんとしている
ことです。
特に、アフターサービスがあるのは初心者にとってありがたいポイントだと思います。
説明書にメールアドレスが載っていて、困ったことがあればメールで問い合わせることができます。
私も質問したことがありますが、とても丁寧に回答してもらえました。
もちろん、ぬか漬けの味も良くて気に入っています。
昆布や唐辛子など、ぬか床の味を豊かにする食材が入っています。
なお、この商品は常温でも大丈夫とのことだったので、ぬか床に慣れてきたころにおっかなびっくりで流しの下に置いてみました。
その結果、常温でも全く問題なく、むしろ菌が活発になってよく漬かると気づきました。
今ではもっぱら常温管理です。
(ただし、猛暑の夏の昼間はさすがに冷蔵庫にしまいました…)
ぬか床以外に必要なもの
容器
管理の手軽さを謳う商品は、たいてい自立するジッパーバッグに入っていますので、最初はそれで十分です。
しかし、袋だとどうしてもかき混ぜにくいので、ある程度深さのある容器に移すことをおすすめします。
私は、ぬか床を買って1週間もしないうちに、100均で大きなプラスチック容器を買って移し替えました。
かき混ぜやすいように、深さがあり大きめのものを選んでください。
ぬか床の重さの2~3倍が目安と言われています。
塩
何度か漬けていると味が薄くなってくるので、塩を足す必要があります。
調べたところ「粗塩」がいいらしいですが、純粋な塩であればなんでも大丈夫です。
まずは台所にある塩で十分ですが、けっこうな頻度で使うのでぬか床用の塩を買っておいてもいいです。
たしぬか
先にも述べたように、ぬかは使うと減っていき、野菜の水分が出て水っぽくなっていきます。
そうなれば新しいぬかを足す必要がありますので、準備が必要です。
基本的には同じメーカーのものが推奨されていますので、ぬか床と一緒に買っておきましょう。
たしぬかの賞味期限は長く、開封後も冷蔵庫で保存できるので、多めに買っても大丈夫です。
ぬか床の管理と漬け方
さて、いよいよぬか床を使ってみましょう!
食材を漬ける
野菜はよく洗って、軽く水気を取ってからぬか床に入れてください。
葉野菜やきゅうり・オクラ・なすなどは、塩もみしておくと色よく漬かります。
野菜がぬか床の表面から出ないように、しっかりぬかをかぶせましょう。
漬ける時間は、最初は説明書の通りでやってみてください。
そのうちに感覚がつかめるはずです。
また、野菜は、大きく切ればゆっくりと、小さく切れば早く漬かります。
気温や野菜の切り方で漬かり具合が大きく変わりますので、試行錯誤してベストな漬け方を見つけてください。
食べるとき
食材をぬか床から出し、余分なぬかを戻します。
水道水でさっと洗い、軽く水気をしぼってから好みの大きさに切ります。
ぬか床から出したら、できるだけ早く食べたほうがいいそうです。
きゅうりやなすなどは、食べる前に冷やしておくと美味しいです。
お手入れ
かき混ぜ方と頻度
常温に置くなら、1日1回はかき混ぜる必要があります。
混ぜるときは、上下をひっくり返すようにしましょう。
詳しい説明は省きますが、こうすればぬか床に分布する菌のバランスが良くなるそうです。
ぬかが減ってきたとき
ぬかを足します。
あまりたくさん入れてしまうと発酵が鈍くなってしまうので、ぬか床の10%以内にしてください。
ぬか床が固くなりすぎるようであれば水を入れる必要がありますが、たいていは野菜の水分でゆるくなっているはずですので必要ないです。私も水を入れたことはありません。
水っぽくなったとき
同じくぬかを足します。
あまりに水分が多いときは、キッチンペーパーで吸い取るか、水抜き器(通販サイトで売ってます)を使ってもいいと思います。
ただ、ぬか床から出る水には乳酸菌や旨味成分が含まれていると聞いたことがありますので、私はできるだけたしぬかで対応するようにしています。
しばらく漬けないとき
旅行などで数日留守にする場合は、食材をすべて出して冷蔵庫に入れてください。
1週間以上になる場合やしばらくお休みする場合は、冷凍保存が可能なようです。
おすすめ食材
ぬか床に入れてはいけないものは、
・液体
・生もの
・においの強い野菜(玉ねぎ、ゴーヤなど)
です。
逆に言えば、それ以外であれば、何を漬けても大丈夫ですので、いろいろ試してみてください。
私がやってみて特に気に入ったものを以下に挙げます。
定番
きゅうり
ぬか漬けといえばまずはコレ!です。
ヘタを切り落とし、軽く板摺してから漬けます。
真夏によく冷えたきゅうりの糠漬けは最高ですよ。
長芋
ネバネバとぬかの香りが合わさって、なんともいえない美味しさです。
皮をむいたほうが漬かりやすいと思いますが、面倒でゴミが出るので、私はそのままよく洗って(ついでにひげ根をちぎって)から漬けています。
皮もひげ根も案外気にならず食べられます。
皮つきなら2日ほど漬けるのがおすすめです。
大根
皮をむいても、そのままでもいいです。
もし皮をむくなら、その皮も必ず一緒に漬けてください!
根の部分とは違った食感で、ポリポリした食感と少しの辛味がやみつきになります。
ものすごくおすすめなので、ぜひやってみてください。
キャベツ
1枚ずつはがすか、くし切りにして漬けます。
せん切りにして食べると、ザワークラウトみたいでおいしいです。
小松菜
塩もみして水気を絞ってから漬けます。
こちらは野沢菜のような味になります。
油断すると漬かりすぎてしまうので気をつけてください。
その場合は、チャーハンにするのがおすすめです。
変わり種
こんにゃく
ぜひやっていただきたい食材No.1です!
湯がくかレンジでアクを抜き、粗熱を取ってから漬けます。
アク抜きずみのものを買うと楽です。
1日から2日漬け、薄く切ってよく冷やしてから食べてみてください。おつまみに最適です。
チーズ
包装から出してそのままぬか床にインするだけで、手軽さで言えば最強です。
他の食材と同じく、ぬか床から出したら洗い流してOKです。味がおかしくなるようなことはありません。
スモークチーズのようになり、心なしか味が濃縮されたように感じます。
安いプロセスチーズで十分です。むしろそのほうが、味の変化がわかっておすすめです。
ゆで卵
粗熱を取り、殻をむいて漬けます。
ちょっと酸味が効いた味玉のようになります。
ズッキーニ
意外かもしれませんが、ズッキーニは生で食べられます。
縦半分に切って漬けてください(皮がじゃまをするようで、丸ごと漬けるとかなり漬かりにくいです)。
新しい味と食感に出会えるはずです。一度試してほしいです。
枝豆
ゆでるか、市販のゆで枝豆を買ってきて漬けます。
さやのままで大丈夫です。
おつまみに最高です。
まだまだ紹介したい食材はたくさんありますが、きりがなくなりそうなのでこの辺でやめます。
それほどにぬか漬けの可能性は広いと思っています。
まとめ
ぬか床は意外に簡単で、いろんな食材を漬けて楽しむことができます。
続けると自分だけのぬか床に育っていき、食材との組み合わせで思いがけない味に出会うこともできます。
漬け方や食材を工夫して、ぬか床生活を楽しんでください!
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