映画「ウィキッド 永遠の約束」感想

感想記事

「ウィキッド 永遠の約束」公開初日に観てきました!

前編「ウィキッド ふたりの魔女」が2部作であることを知らずに観てフラストレーションを感じてから1年、やっと完結まで見届けられたという気持ちでいます。

「ふたりの魔女」がとてもよかったので続編も期待していましたが、期待以上で大満足でした。

良かったところをざっくりまとめると、以下のような感じです。

・ミュージカル版をリスペクトしつつ、映画ならではの手法で人物の内面を表現しているのがいい

・音楽のアレンジが好みで、キャストの歌唱レベルも高い

・ミュージカル版にはないエピソードが挿入されており、ストーリーにより説得力が出ている

以下、ネタバレ含む詳しい感想を書きます。
長いので、目次のリンクから興味のあるところだけ読んでくださいね。

全体の感想

私は劇団四季の「ウィキッド」が大好きなのですが、ミュージカル版へのリスペクトがありつつ映画ならではのエピソードや表現方法が織り込まれていて、よりストーリーに深みが出ていたなと感じました

ミュージカルを観たときに少し唐突に思えた場面も、裏付けとなるエピソードがあり納得できました。

音楽はミュージカルで何度も聴いてきたおなじみの曲ですが、アレンジがされていて新鮮な気持ちで聴くことができました。
「ふたりの魔女」を観たときにも思ったのですが、映画版の曲のアレンジ、なかなかセンスがいいです

「永遠の約束」ではグリンダとエルファバにそれぞれ新曲が与えられており、どちらの曲も素敵でした。

日本語の歌詞が頭にある状態なので、英語の歌詞+日本語字幕で「ここは原語ではこういうことを言っていたのか」と新たな発見もありました。

そして一番よかったのが物語の終わり方です。
ミュージカルより希望を感じさせるラストシーンだったと感じました。

映画ならではの表現

ここからはポイント別に感想をお話しします。

まず、映画ならではの表現で「いいな」と思ったシーンをお話しします。

グリンダの結婚式のシーン

このシーンでは、明るい光の中を大勢の人に祝福されながら歩くグリンダと、暗い地下通路で檻に閉じ込められた動物たちの中を歩くエルファバが交互に映し出されます。

二人の選んだ道が対比され、もう昔のようには戻れないところまで来てしまったんだなと感じさせられました。

「闇に生きる」のシーン

エルファバがフィエロを救うため、必死に呪文を唱えるシーンです。

呪文を唱えるエルファバの映像の間にフィエロが拷問を受けているカットが挿入されていて、エルファバがどれほどフィエロの無事を祈っているか、彼のことを想っているかが伝わりました。
(どこかの瞬間にフィエロはカカシに変わっているはずなのですが、分かりませんでした)

このシーン、相手のために行動したのに悪者に仕立て上げられてしまうエルファバの心情を思うと、胸が締め付けられる思いがします。

エルファバが消える前のシーン

ここはミュージカルでも涙を誘うポイントです。

エルファバは降参することを決め、姿を消す前にグリンダに隠れているよう言います。
グリンダが小部屋に入ってドアが閉まったあと、ドアを挟んでグリンダとエルファバが涙を流していました。
二人の様子が見えているからこそ、より切なさが増しました。

そのあと、エルファバが水をかけられて消えるところを、グリンダはドアの隙間からシルエットだけ見ていました。
ここで直接姿を見ていないのがポイントなのですよね。

グリンダとエルファバがお互いを想うシーン

エルファバがオズを去ったあとのシーンです。

遠い空を見上げながら互いのことを想うグリンダとエルファバが、交互に映し出されていました。
二人の心には互いの存在が永遠に刻まれたんだろうな、と思わせられるシーンでした。

掘り下げた人物描写

ミュージカルより人物の内面が深く描写されていたように思います。
印象に残ったところを挙げます。

子ども時代のグリンダ

「ふたりの魔女」の終盤で、落下するエルファバに幼いエルファバが重なるシーンがあり、印象に残ったのを覚えています。

「永遠の約束」では、グリンダの子ども時代が描写されていました。
グリンダが母に「笑顔は?」と促され、無理に微笑もうとする姿が痛々しかったです。

グリンダは小さい頃から人気者であることを強いられてきて、彼女なりに苦労してきただと思います。
ただ能天気に人気者の立場に甘んじているだけの人ではないんだな、とわかるシーンでした。

ネッサとボックの関係

映画では、ネッサが総督の権力を用いてマンチキン人が出国できない法律を作り、ボックがネッサのそばにいるしかない状況を作り出します。
自分は被害者だと思っていたネッサが、はっきりと加害者になった瞬間はここだとわかりました。

これはミュージカルにはないエピソードで、ネッサに対するボックの冷たい態度に説得力が増しました。

グリンダとエルファバのけんか

ネッサが家の下敷きになった現場で、グリンダとエルファバがけんかになるシーンです。

ミュージカルではこの二人のけんかが少し唐突に感じられ、なぜいきなり言い争いを始めるのか理解しづらかったです。

映画では、
エルファバはフィエロを奪った
 ↓
グリンダはネッサの形見の靴をドロシーにあげた
 ↓
互いに相手のものを奪った
という流れが明確になっていて、二人がけんかに至った理由に納得がいきました。

こう書いていて思ったのですが、そもそもフィエロはグリンダのものではないし、ネッサの靴もエルファバのものではありませんよね。

本当にどこまでもぶつかり合う二人ですが、ここまでぶつかり合える相手ってなかなかいないと思います。

エルファバがオズを去るシーン

カカシとなったフィエロとともに、エルファバが城をあとにするシーンです。
エルファバは帽子を残したまま去っていこうとしますが、部屋を出ていく前に帽子のほうを振り返ります。

あの帽子は、「悪い魔女」の象徴だと思います。
それを置いていくことで、エルファバは「悪い魔女」の役割から自由になったことを暗示しているように感じられました。

同時に、帽子にはグリンダと過ごした時間も詰まっています。
だから、オズを去る前にもう一度帽子を振り返るのだと解釈しました。

ミュージカルにないエピソード

映画では、ミュージカルにはないエピソードも描かれていました。

ネッサの最期

ネッサは竜巻で飛ばされた家の下敷きになって亡くなります。
映画では、ボックを必死に探しているときに竜巻に遭ったという設定になっていました。

大好きな姉もかつての恋人も自分の元を去ってしまい、孤独の中で最期を迎えたネッサの心情を思うと涙が出ました。
ネッサのやり方にも良くないところはあったけれど、何かが違っていたらネッサにももっと幸せな人生があったのではないかな、と漠然と考えました。

オズの向こう側は「無」

オズから逃げようとする動物たちによって、「オズの向こう側は『無』である」ということが明かされます。
「無」という言葉と、そのあとに映った何もない砂漠のような場所に背中が寒くなりました。

そして、オズを去ったエルファバとフィエロが向かったのは、その「無」の世界でした。
でも不思議と悲壮感のようなものはなく、二人には新しい人生が待っているんだろうなという希望さえ感じられました。

オズの向こう側の「無」の世界も、案外悪いものではないのかもしれません。

動物たちのゆくえ

ラストでグリンダがオズの民の前に立っているとき、解放された動物たちが戻ってきました。
その中にはディラモンド先生やエルファバの乳母もいて、オズに平和が戻ったんだなと感じてほっとしました。

ミュージカルでは言葉を奪われた動物たちのゆくえがはっきりとは描かれていなかったので、動物たちの幸せな結末を目にすることができて満ち足りた気分です。

最後まで目が離せない

ここまで書いてきたように、すばらしいポイントがたくさんある映画でしたが、最後の最後まで仕掛けがあります

幕切れの瞬間

本編の一番最後、幕切れの瞬間です。

ここの構図が、ミュージカルのポスターと同じでした。
そう、あの、エルファバの耳元でグリンダがささやいている絵です。

一瞬だけのシーンだったのですが、そのインパクトは絶大でした。

二人がまたこんなふうに語り合える日が来ればいいのにな、いったい何を話しているのかな、などと想像がふくらみました。

エンドロールも見てほしい

エンドロールも見逃せません。

最後に、「初演してくれた人と今でも上演してくれている劇団に感謝」といった内容のテロップが流れました。
(言葉はうろ覚えです)

その瞬間に劇団四季のことを思い出し、ちょっと嬉しくなりました。
ミュージカルへのリスペクトが感じられる演出でした。

その他感想

最後に、上記のカテゴリに当てはまらなかった感想がこちらです。

気になったセリフ

エルファバとフィエロの間で交わされる台詞について思ったことです。

劇団四季の舞台では「物事を違う角度から見ているってこと」という台詞が、映画の字幕では「見方が変わった」となっていました。
個人の意見ですが、この台詞の訳し方については劇団四季版のほうが本質を突いていると思います。

もちろん、映画の字幕も文字数など制約がある中で考え抜かれた和訳だと理解しています。
その上で、この台詞については劇団四季版を推したいです。

「あの頃に戻りたい」切実さ

ネッサが学生時代のことを思い出して「あの頃に戻りたい」と言うシーンがありますが、それはきっとグリンダ、エルファバ、フィエロ、ボック全員が思っていることだと思います。

オズの国はすばらしい、オズの魔法使いは偉大な人だ、そう無邪気に信じられていたころは幸せだったでしょうね。

私も楽しかった学生時代を思い出しては「あの頃に戻りたい」と思うことがありますが、グリンダたちの「あの頃に戻りたい」は、もっと切実で、心からの願いなのだと思います。

真実とは何か

ウィキッドを観るたびに思うのが、見方を変えることの大切さです。

自分が真実だと思っていることも、他の誰かにとってはそうでないかもしれません。
あるいは、誰かによってねじ曲げられた事実かもしれません。

だから、何かを頭から信じ込むのではなく、本当にそうなのかと疑うことや、違う角度から考えることを大切にしたいと思います。

まとめ

以上、映画「ウィキッド 永遠の約束」の感想でした。
ここまで全文を読んでくださった方がもしいれば、長々とお付き合いいただいたことに感謝します。

できることなら、もう一度「ふたりの魔女」と合わせて映画館で観たいです。
大好きな作品であるウィキッドが、こんなに素晴らしい形で映画化されて本当に良かったと思います。

そして、劇団四季ファンには嬉しいニュースが舞い込んできましたね。
2027年に「ウィキッド」が再演されるとのことです。

これはぜひ観に行きたいですが、東京まで行けるのか、その前にチケットが取れるのかが気がかりです。
でもこんなに早く再演されるとは思っていなかったし、できれば観に行きたいな…などと考えています。

私の感想にお付き合いいただき、ありがとうございました!

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